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増上寺 薪能


増上寺の薪能は、江戸時代より、現在の東京タワーの辺りにあった能楽堂で行われていましたが、度重なる天災や戦災によって、中止を余儀なくされておりました。 昭和49年に増上寺大殿が復興されたのを機に、境内の特設舞台に場所を移して奉納が再開される事となりました。

重要文化財の三門と、グラント将軍お手植えの松を背景に、篝火の灯りで演じられる能は、皆様を幽玄の世界へと誘います。 新緑の木々と朱の三門に彩られる境内での特別な一時をお楽しみ下さい。

 

能楽と増上寺

能とは、もともと能楽の略であって、舞と歌とをひとつの筋を追って演ずるものをいい、世阿弥元清がこれを大成した。すなわち、その脚本が謡曲である。この能楽は江戸時代になっても幕府の儀式芸能として興隆を極めるが、維新後、廃絶の危機に瀕する。しかし、公家、貴族の尽力によって再び盛んに演ぜられるようになる。その頃、岩倉具視ら有志によって能楽社(のちに能楽会)を組織し、明治14年に能楽堂(敷地700余坪、建物340余坪、現在の東京タワー辺り)を落成、上覧能演場として栄える。第2次世界大戦において能楽堂をはじめほとんどを灰燼に帰した増上寺は、昭和49年に大殿を復興し、おおかたの境内整備を完了した。これを機に、能楽堂の歴史をもつ増上寺でたびたび薪能が演ぜられるようになった。

 

漆黒の闇の中で篝火を焚き演ずる薪能には舞台設定が重要である。増上寺境内、特に舞台が設置される参道は都内は言うに及ばず全国でも有数の条件下にあるといえる。

 

出演者は三解脱門(重要文化財)を背景とし大殿に向って演じ、増上寺本尊、阿弥陀如来に奉納する。一方客席は舞台周辺から大殿の方へ参道がゆるいスロープになっており、舞台正面のみ摺鉢状となり舞台全体が浮き彫りになって迫力を増す。江戸三大名鐘の一つである大梵鐘(高さ3メートル余り、重さ15t)が鳴り響くと開演である。薪能舞台としては「都内最高」との評判を得ている。

 

初めて能を見る人のために

わが国は古い歴史をもつ様々な伝統芸術に恵まれていますが、この伝統芸術の一つとして、国の重要無形文化財に指定されている能楽は、六百年以上の古い歴史をもつ優れた古典芸能で、世界の古典劇のなかでも極めて古く、海外からも高い評価を得ております。

能楽は室町時代に観阿弥、世阿弥によって大成され、その後、江戸時代の式楽として武家社会を中心に栄え、その簡潔で集約された演技、演出による独特の舞台芸術は、後生ながく受け継がれるべき貴重なものであります。

 

能楽は、シテ方、ワキ方、囃子方、狂言方がそれぞれの厳しい修業を経た芸をひとつの舞台に結実される総合芸術であり、どの役が弱体となっても質の高い舞台にはなり得ません。それでは、初めて能を見る人のために演者(出演する人)の役割などを説明します。これだけは知っていないと不便だというものに、登場人物の役柄の名であり、シテ方、ワキ方、狂言方、囃子方以上の四役です。

 

☆シテ方が演じるもの
シテ……主役 ツレ……シテの補助的人物 例えば侍女、相手役など。


☆ワキ方が演じるもの
ワキ……シテの相手役だが、ツレではない 面はつけない 大きな特徴として僧、武士、船頭など必ず現実の人間の役である。


☆狂言方が演じるもの
アイ……能の中の狂言方の役 前シテが中入りした時、ワキに改めて物語をする狂言独特の明瞭な発声法で観客にも能の筋が判る仕組みになっている。


☆囃子方が演じるもの
能の楽器は四拍子と言い、笛、小鼓、大鼓、太鼓、で演奏される。囃子は管楽器の笛に対して、小鼓と大鼓の複雑な間合いで演奏される。三種の打楽器の中で太鼓だけは等間隔のテンポで演奏される。この三種の打楽器の音色の違い、テンポの相違、かけ声の気合いが能独特の不思議な興奮と陶酔の音の世界を生み出すのである。

演者芸歴

  万三郎

梅若万三郎

流名「観世流」シテ方
重要無形文化財総合指定保持者

初舞台 …… 昭和19年(3歳)
初シテ …… 昭和23年 曲目「合甫」
       昭和43年 「道成寺」初演

海外公演 …… 昭和42年 第一回日本能楽団欧州公演 他
        アメリカ・カナダ・メキシコ公演
        昭和60年 ハワイ官約移民百年祭記念薪能公演
        昭和61年 カナダ万国博覧会にて公演
        平成元年 ベルギーユーロパリア日本祭参加
        平成5年 ドイツ公演

賞       昭和63年 「松風」の演技にて大阪文化祭受賞
        老女物以外の大曲、難曲を全て完演
        平成4年 「野宮・合掌留」にて大阪文化祭賞受賞
        平成9年 「卒都婆小町・一度之次第」にて
        大阪文化祭賞受賞
        平成13年 11月23日 梅若万三郎 三世襲名


  万佐晴

梅若万佐晴

流名「観世流」シテ方
重要無形文化財総合指定保持者

初舞台 …… 昭和24年 曲目「花筺」子方
初シテ …… 昭和30年 曲目「合甫」
       昭和33年 「道成寺」初演

海外公演 …… 昭和42年より毎年ヨーロッパ各地で公演
        昭和60年 ハワイ官約移民百年祭記念薪能公演
        昭和61年 カナダ万国博覧会にて公演
        平成元年 ベルギーユーロパリア日本祭参加
        平成5年 ドイツ公演


 

山本則直

流名「大蔵流」狂言方

初舞台 …… 昭和19年「以呂波」シテ
賞    昭和39年 芸術祭奨励賞受賞
     昭和40年    々
     昭和51年 芸術選奨励文部大臣賞新人賞受賞
職歴   財団法人杉並能楽堂理事 他


過去の演目

第1回 昭和55年 4月5日
 ◎善導大師1300年遠忌記念
  能 杜若 土蜘蛛 狂言 悪太郎

 

第2回 昭和57年 5月29日
 ◎法然上人降誕850年慶讃記念
  能 百万 笠之段 葵上 狂言 茶壷

 

第3回 昭和58年 5月7日
  能 巻絹 橋弁慶 狂言 千鳥 仕舞 頼政

 

第4回 昭和59年 5月12日
  能 羽衣 安達原 狂言 棒縛 仕舞 遊行柳

 

第5回 昭和60年 5月11日
  能 半蔀 船弁慶 狂言 呼声 仕舞 山婆

    昭和60年10月4〜5日


 ◎ハワイ官約移民100年記念
  能 羽衣 葵上 船弁慶 土蜘蛛
  狂言 梟 棒縛

 

第6回 昭和61年 5月10日
  能 清経 天鼓 狂言 蝸牛 仕舞 源氏供養

 

第7回 昭和62年 5月9日
  能 賀茂 土蜘蛛 狂言 附子 仕舞 桜川

 

第8回 昭和63年 5月28日
  能 田村 鉄輪 狂言 二人大名

 

第9回 平成 元年 5月27日
  能 熊野 安達原 狂言 佐渡狐

 

第10回 平成2年 5月26日
  能 高砂 山婆 狂言 梟 仕舞 野守

 

第11回 平成3年 5月25日
  能 松風 石橋 狂言 鎌腹

 

第12回 平成4年 5月26日
  能 藤戸 昭君 狂言 清水

 

第13回 平成5年 5月29日
  能 杜若 熊坂 狂言 鶏聟

 

第14回 平成6年 5月28日
  能 弱法師 一角仙人 狂言 棒縛

 

第15回 平成7年 5月27日
  能 高砂 紅葉狩 狂言 呼声
  蝋燭能 能 鉄輪 狂言 地蔵舞

 

第16回 平成8年 5月25日
  能 経正 葵上 狂言 六地藏

 

第17回 平成9年 5月31日
  能 橋弁慶 三輪 狂言 船渡聟

 

第18回 平成10年 5月30日
  能 天鼓 楊貴妃 狂言 惣八 

 

第19回 平成11年 5月29日
  能 金 札 船弁慶 狂言 伊文字
 
第20回 平成13年 5月26日
  能 隅田川 半能 融 狂言 二千石

 

第21回 平成14年 5月25日
  能 小督 吉野天人 狂言 鎌腹

 

第22回 平成15年 5月31日
  能 千手 恋重荷 狂言 蝸牛

 

 

第23回 平成16年 5月29日
  能 天鼓 望月 狂言 樋の酒

 

第24回 平成17年 5月28日
  能 羽衣 船弁慶 狂言 棒縛

 

第25回 平成18年 5月27日
  能 藤戸 狂言 昆布売 能 土蜘蛛

 

第26回 平成19年 5月26日
  能 楊貴妃 狂言 附子 能 石橋