この光摂殿大広間の格天井には、平成九年より、東京都庭園美術館名誉館長の鈴木 進先生監修のもと、日本画壇を代表する故小倉 遊亀画伯・故上村 松篁画伯をはじめとする百二十名の日本画家がそれぞれ一作品づつ「四季の草花」をテーマに、約三年の歳月を費やして描かれた作品が奉納されております。数ある天井絵の中でも、これだけ多くの先生方の作品を一同に御覧頂ける素晴らしさは他に類を見ず、歴史に残すべき寺宝となりました。天井絵百二十枚に併せて襖絵、杉戸絵も奉納され、日本画による百華が花開いております。
正面右側に展示しております杉戸絵は、霧島杉の一枚板で制作され、描かれております水墨画は「妙義山」で、下保 昭画伯の作品でございます。「巌峰日月」(げんぽうにちげつ)の表題通り、右手に太陽・左手に月が描かれており、寺院の書院建築にふさわしく、厳しさと落ち着きとを合わせ持った重みのある作品になっております。
正面の襖絵「清香天華図」(せいこうてんげず)は江戸琳派の流れを継承する、岡 信孝画伯によるものです。数ある琳派のなかで、上方にはない江戸前の美意識「粋」によって、洒脱で瀟洒な、洗練された画風に仕上がっております。春・夏・秋を四枚の襖に表現し、描かれていない冬を自然に想像させ、あたかも永遠の時・空間を想わせるものといえましょう。百二十枚の天井絵を包み込み、一体と成す広がりを併せ持つ作品でございます。またこの襖絵の裏面には、京都東山の全景が同じく岡 信孝画伯の筆により、元祖法然上人が修学されました比叡山を中心に、左から浄土宗大本山 金戒光明寺・臨済宗南禅寺派総本山 南禅寺・浄土宗総本山 知恩院が四季の風景を織り交ぜて描かれております。
この光摂殿大広間は主に僧侶の修行道場施設として使用されます。百二十人の諸先生お一人お一人の丹精をこめられた絵により、修行に励む僧侶の心が洗われ、極楽浄土の荘厳を自らのものとして、体感する事となりましょう。もとより光摂殿は「心を洗い、未来をひらき、生きる力を育てる」道場であります。この大広間に組み込まれた天井絵は、その願いに、お力を添えて下さると確信しております。天井絵は念仏道場の荘厳、人の心をお浄土に導く荘厳であります。何卒、お浄土の草花に思いを寄せてご覧下さい。
(天井絵は、奥の襖絵を背に上を見上げていただきますと、目線と絵の上下が揃います。襖側から先生方の年齢順に、中央・左・右と縦方向に並べております。) |