お知らせ

浄土宗開宗850年奉賛局だより(5月)

2022.05.01

「三解脱門」の名があらわすもの

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 まずは、増上寺浄土宗開宗850年慶讃事業に対し浄財をご志納いただきましたご寺院様、檀信徒様に紙面をお借り致しまして厚く御礼申し上げます。

 さて、慶讃事業で解体大修理を予定している三解脱門。この名は次のように伝えられています。

 まず、一つの説明として、三解脱門とは「空門」「無相門」「無願門」を意味するというものがあります。

 仏教において「解脱」とは、悩みや迷いなど煩悩の束縛から解き放たれて、自由の精神的境地に到達することをいいます。その精神状態こそが「空」「無相」「無願」です。すなわち、すべての存在は移り変わり(空)、それゆえ定まった姿形もなく(無相)、したがって執着することは何もない(無願)と、三つの真理を体得するのです。私たちはそのような境地を表す三解脱門をくぐり、涅槃の世界である本堂に向かっていくのでありましょう。

 一方で、増上寺において広く親しまれているものに、三解脱門は「むさぼり(貪)・いかり(瞋)・おろかさ(痴)」といった三つの煩悩から離れる門という説明があります。三解脱門をくぐり都会の喧騒から静かな境内に足を踏み入れることは、煩悩に悩まされた日常生活を離れて清らかな仏様の世界に入っていくことと重なり合うのでしょう。この説明を聴く参拝者の多くが嬉しそうに納得されています。

 貪瞋痴を離れるということは、すなわち「解脱」の精神的境地でありますので、二つの説明が究極的に目指すところは同じであります。

 先達が仏教の教えを伝え広めるために工夫を凝らして三解脱門を大切にしてきたことに思いを致し、これからも永く人々に親しまれるよう三解脱門の改修に努めてまいります。

※用語は『新纂浄土宗大辞典』を参照しました。


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