浄土宗開宗850年奉賛局だより(10月)
2025.10.01
秋の夜長に寄せて
夏の酷暑を経て、やっと芝公園にも秋の気配が漂ってまいりました。秋の夜長は、書に親しむ、舌鼓を打つ、あるいは虫の音に癒されるなど人それぞれに楽しみがあります。
ある秋の日、一人の若者が増上寺を訪れました。仕事や将来の不安に押しつぶされそうになり、心から安らぎを求めていたのでした。彼は三解脱門の前に立ち、静かに深呼吸しました。門の上には、色づいた木々が柔らかい影を落とし、風が葉をそっと揺らしています。「この門をくぐれば、新しい自分になれるかもしれない――」そんな思いで、そっと一歩を踏み出しました。朱塗りの太い柱、歴史の重みを感じさせる木の香り、そして昔も今も変わらぬ静けさ。門をくぐる瞬間、彼の心にも清らかな風が吹き抜け、胸の奥の重たいものが少しだけ軽くなりました。境内を歩くと、グラント松の葉が足元を包み、遠くには東京タワーが顔をのぞかせます。古と現代が交錯するこの場所で、若者は自分の小さな悩みが広い世界の中の一瞬であることを感じました。日が傾き始め、三解脱門は夕陽に照らされて黄金色に染まります。若者は門を振り返り、もう一度深く息を吸いました。これからの日々も、秋のように巡る季節の中で、きっと新たな気持ちで歩いていける――そう静かに思いながら、彼は増上寺を後にしました。
この文章は、「秋と三解脱門の物語を書いて」と夜長に生成AIと戯れた時に提示されたものの一部です。なかなかの出来かもしれません。
現在、三解脱門は素屋根に覆われ、その中で慎重に解体作業が進められています。東京都や港区に特別な配慮をいただき、さらには文化庁のご理解を得て、素屋根正面にはプリントメッシュシートが掛けられることになりました。8月中旬にはその全容をすでに現しておりましたが、あたかも三解脱門がそこにあるかのように描かれたシートとなっております。無機質だった素屋根にぬくもりが宿った感じがいたします。また、9月よりは素屋根の一部、三解脱門の中ほどが通路として往来可能となり、門をくぐることができるようになっています。ただ通路は幅や高さに制限があり、足元にも注意が必要ですので、十分に気をつけてご通行下さい。
令和の大修理が済むまでの数年間は、三解脱門はプリントされた仮の姿で増上寺を参詣なさる皆様をお迎えすることとなります。たとえ仮の姿であろうとも俗なる空間と聖なる空間を隔てる存在に変わりはありません。そして江戸時代からそこにある存在感は消えることがありません。
AIは作成した文章を「三解脱門は、今日もまた、悩みや迷いを抱えた人々を優しく迎え、静かに見守っています」と結びました。三解脱門ばかりでなく、大本山増上寺本尊阿弥陀如来様も皆様を見守り続けて下さっています。
奉賛局部長 中村瑞貴