増上寺の境内も新緑から深緑へ移り変わり、大都会のオアシスのような芝公園となりました。

 さて今月のことばは先月号と同じ、法然上人が常に語っていた詞を集め編集した「つねに仰せられける御詞」より選びました。二十七条から成っており、原典は『勅修御伝』二十一にあります。

 私はこのご法語を拝読する度に思い出すことがあります。それは二十数年前の大晦日の夜に突然枕経の依頼があり驚いて駆けつけてみると、お雑煮の餅が喉につかえて窒息死されたとのことでした。

 僧侶という立場におりますと、さまざまな死の縁の話を見聞き致しますが、このようなことは初めてで、特に印象に強く残っており、このご法語を拝読すると、その時のことが思い出されます。このような場合とっさの処置としては、掃除機の柄を取り払い口の中に入れて取り出すのが一つの方法とされています。このような例は珍しいことと思いますが、落ち着いてゆっくりとまさに南無阿弥陀仏と噛んで南無阿弥陀仏と飲み込むのがよろしいでしょう。健康的に考えても胃腸にも良いし、血糖値の上昇も抑えられるとのことです。

 浄土宗には三種行儀という念仏を申す三つの行儀作法があります。そのうち尋常行儀とは常日頃お念仏を申すこと、また別時行儀は忙しい日々の中、特別に日時を決めて行う念仏、さらに臨終行儀とはまさに最期臨終の時に申す念仏であります。さすがに臨終の時は本当に心から阿弥陀様の来迎と往生を願う気持ちでお念仏を申せるでしょう。しかし臨終はいつくるかわからないし、称えることができないかもしれないので、やはり日常いつもお念仏を申すことが最も肝要であるとされています。

 日々お念仏に励みましょう。

教務部長 井澤隆明

増上寺