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増上寺三大蔵「世界の記憶」国内候補に決定

 11月28日、増上寺が所蔵する「三大蔵」(宋版、元版、高麗版の3種類の大蔵経)が、歴史的に重要な文書や絵画などを保護するユネスコ(国連教育科学文化機関)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)の国内候補として、前回の令和3年に続き再推薦されることになりました。登録の可否は令和7年のユネスコ執行委員会で決まる見通しです。

増上寺「三大蔵」デジタルアーカイブ公開

 浄土宗開宗850年の記念事業の一つとして進められてきた「三大蔵」(宋、元、高麗の3種類の大蔵経)のデジタルアーカイブ化が完了し、本年11月20日、ウェブ上に公開されました。

 公開された増上寺デジタル三大蔵は、総数484,457コマ(①思渓版:160,975コマ、②普寧寺版:163,685コマ、③高麗版:159,797コマ)、全体で4TB近くの巨大なデータです。各蔵所収の経典類の全画像と共に、書名検索と著訳者名検索機能も付されており、誰でも自由に無料で使用することができます。

 この公開により、仏教が伝える信仰・実践・儀礼の具体的な典拠や、東洋における哲学的思惟の源泉、そして大蔵経に含まれる仏教世界の多様な情報が、三大蔵の詳細なデジタル画像を通じて精緻な形で世界に開かれることとなります。

増上寺「三大蔵」デジタルアーカイブ公開

増上寺「三大蔵」とは

 浄土宗の大本山増上寺が所蔵する三種の大蔵経とは、中国の宋代および元代、朝鮮王朝時代に当時最高の印刷技術のもと制作された、

 ①中国、南宋時代(12世紀)に開版(版木が作成)された思渓版大蔵経5,342帖
 ②中国、元時代(13世紀)に開版された普寧寺版大蔵経5,228帖
 ③朝鮮、高麗時代(13世紀)に開版された高麗版大蔵経1,357冊

 という、総数約12,000点に及ぶ木版大蔵経群です。「大蔵経」とは一蔵が5,000巻を超える仏経聖典の叢書であり、仏教文化の根拠と基盤をなす一大文献群です。これらは、17世紀初頭に江戸幕府を創設した徳川家康が収集し、増上寺に寄進した膨大な経典類です。その後、関東大震災や東京大空襲など様々な危機を乗り越え、今日まで増上寺において伝承されています。

 多くの大蔵経が王朝の変遷や戦乱により散逸するなか、15世紀以前に作られた三つの大蔵経がほぼ完全な状態で所在されていることは世界で他に類を見ません。

 近代になると、明治と大正時代にはそれぞれ校訂を施した大蔵経を刊行するため、増上寺で三大蔵が校合され活版印刷となり、大蔵経が広く流通したことで、仏教は近代的学問の対象となりました。そして現代では最先端の技術を用いてデジタルアーカイブとなり、持続可能な地球平和と調和のための、世界の精神文化史の一環として注目されています。

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