もう北国からは雪の便りが聞かれる季節となりました。

 法然上人も京都の街に降り積もる雪を見てこの歌を詠まれたものと思います。雪が深々と降り積もり大地のすべてを埋めつくすように、私たち凡夫もいつしか重ねてきた罪業が降り積もって覆いつくしているのです。けれどもお念仏を称えると、太陽の光によっていつの間にか静かに雪が消えるように、阿弥陀仏の慈光に照らされやがて積み重ねてきた罪業も消えていくことでしょう。

 ところで『無量寿経』巻上に阿弥陀仏のお名前を12の光に例えて説かれています。無量光仏・無辺光仏・無礙光仏・無対光仏・燄王光仏・清浄光仏・歓喜光仏・智慧光仏・不断光仏・難思光仏・無称光仏・超日月光仏、以上の十二光仏といわれているもので、いずれも阿弥陀仏の広大な慈悲の光明を表しています。

 阿弥陀仏の救いは具体的には光によって導いていただくのですが、その光の特徴を12に分けて示されたのが十二光仏で、いずれも太陽の光をはるかに超えたこの上もない大光明であることが述べられています。

 また『観無量寿経』には「光明遍照 十方世界 念仏衆生 摂取不捨」との言葉もあり、阿弥陀仏の光明はあらゆるところを照らしており、特に念仏を称える者は必ず摂取されていくことも示されています。

 煩悩熾盛で罪業に包まれた私たち凡夫でも、雪がやがて消えていくように阿弥陀仏の慈光に照らされ、必ず往生が叶い摂取(救われる)されていくのです。

 しっかりお念仏をお称え致しましょう。

教務部長 井澤隆明