生活の中にお念仏を

 年末の風物詩の一つに、その年の世相を表す「今年の漢字」があります。昨年選ばれましたのは、なんと「熊」でした。昨年は熊による被害が大変多く発生し、テレビでも連日のように報道され、多くの方が被害に遭われ、また尊い命を落とされた方もいらっしゃいました。私の住む山形県でも熊が市街地に出没し、その情報が何度も携帯電話に届いたことを覚えています。こうした出来事を思えば、「熊」という字が選ばれたことにも十分頷けます。ですが、数年前であれば、まさか今年の漢字が「熊」になるとは、誰が想像できたでしょうか。

 しかし、私たちの生きる世の中とは、昔も今も、そしてこれからも、いつの世も変わることのない「いつ何が起こるかわからない」世界なのです。昨年12月には青森県で震度6の地震があり、今年に入ってからも鳥取県や島根県で震度5強の地震が発生しました。そうしたことを、いったい誰が予測できたでしょうか。同様に、私たちの命もまた、いつその終わりを迎えるかは誰にもわかりません。だからこそ、常日頃からお念仏をお称えし、阿弥陀様との尊いご縁を結んでおくことが、何よりも大切なのです。

 阿弥陀様は「南無阿弥陀仏と称える者を、必ず極楽浄土へ救いとるぞ」とお誓い下さいました。
法然上人もまた、特別な時だけではなく何事もない日常においてこそ、お念仏をお称えし続けることの大切さをお示し下さっています。ですから、年回法要や特別な行事の時だけお念仏をお称えするのではありません。日常生活の中に念仏があるのです。

 命の終わりは、どなたにも平等に訪れます。そのとき必ず阿弥陀様がお迎えに来て下さるよう、これからも日々の生活の中でしっかりとお念仏をお称えし、共々にこの先の人生も歩んでまいりましょう。

本山布教師 東谷敬信
山形教区 來運寺