大施餓鬼会

 お釈迦さまの身近な弟子に、阿難(あなん)という方がおりました。

 或る夜、阿難さまの前に、人の業の輪廻する6つの世界の1つである餓鬼道(がきどう)の亡者が現れ「貪りの心強かりし故に永劫の苦しみに沈淪している阿難よ、汝は3日の後に命尽きて餓鬼道に落ちるであろう」と嘲り笑って去りました。

 阿難さまは大いに驚き、夜が明けるのを待ちて、お釈迦さまのもとへ行き「師よ、哀れなる我を救いたまえ」とお願い致しました。お釈迦さまは阿難のために、偉大なる自在光明大聖妙力のお導き、つまりは哀れなる亡者が悉く救われる陀羅尼(だらに)とそのお作法をお示しになりました。

阿難さまはこのお導きを尊しとして、生けると死せるとを問わず、有縁無縁一切に愛を施し、その功徳により遂に3日の命を転じて長寿を保ち、餓鬼は悉く救われたのであります。このお釈迦さまのお導きこそ、お施餓鬼法要に他なりません。

 増上寺では、来たる7月18日11時より光摂殿講堂にて大施餓鬼会を奉修いたします。

 皆様の手向けるその功徳により、今は亡き数限りなきみ霊が、速やかに苦海を離れ生死の界を脱し、西方浄土に往生して、無量寿阿弥陀如来の御許に安らぎの日々を過ごされんことを。